【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「奈々もようやく16歳になったのね…」
目を細め、小さく微笑むお母さんの隣で
お父さんはゴホン…と咳払いをしてから、ゆっくりとその重々しい口を開けた。
「今日は奈々に、大事な話があるんだ」
「…何?」
あたしは、何も知らなかった。
知る由もなかった。
「いいか、奈々。これからは千代さんが経営する学園に通いなさい」
「……え…?」
まさか。
まさか、突然こんなことを言われるなんて、思ってもみなかった。
“普通”の生活から離れることになるなんて、これっぽっちも考えたことはなかった。