【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「……なりません…」
離れた位置から、あたしに背を向け彼は言う。
ポツリと落とされた否定の言葉。
僅かに震えた声が、あたしの胸に深く突き刺さった。
「私には…これ以上、奈々様のお心を穢すようなことはできません…
慎一様や千鶴様を裏切るようなことは…できません……」
それがあなたの気持ち…?
それがあなたの答え…?
「お許し下さいませ…」
それが……
それがあなたの、別れの言葉なの…?