【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
彼は得意の、とびきりの笑顔をあたしに向ける。
「それを早く言ってよぉ!!」
「いけませんよ、人のせいにするのは」
「…!」
差し出されたナプキン。
口からはみ出たレタスを慌てて詰め込んで、それを彼の手から奪い取る。
あぁ…。
完全にあたし、女の子失格な気がする…。
学園の子たちはみんな、溜め息が出るほどお上品で雰囲気がいかにもお嬢様。
それに比べてあたしは……
考えるだけでも、ガックリと頭が垂れる。
…あたしもエミリさんみたいな人になれたら。
あんな風に、なれたら…。
どんなに素敵だろう。
あたしは唇を尖らせながら、何の罪もない目の前の彼をおもむろに睨み付けた。