【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「奈々はもっと、自分の立場をきちんとわきまえた方がいいわ。
…まぁ、そんなこと気にせずに振る舞えることが奈々の魅力なんでしょうけど…」
「自分の立場…?真宝はいつもそんなこと気にしてるの?」
「当たり前よ」
クラスの委員長を務める彼女とは、あたしがここに来て以来すぐに仲良くなった。
何故かみんな、あたしにはよそよそしい態度しかとらない。
そんな中、真宝は違った。
真宝とは普通に話せた。
普通に接してくれた。
それが何より嬉しくて。
慣れない環境の中、彼女の存在はあたしの数少ない心の支えとなっている。
「お嬢様って大変なんだね」
「何言ってるの?奈々だって同じでしょうに」
クスッ、と肩をすくめて彼女は笑った。