【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
昼休みに聞いた、真宝の言葉。
なかなか頭から離れず、気が付けばもう外は薄暗い。
南の身体が作る影を、あたしはぼんやりと見つめていた。
慣れない高級車。
そわそわしながら、だんだんと近付く目的地。
高鳴る胸の鼓動を、あたしは隠さずにはいられない。
チラリ、と運転手さんに目をやり
隣に座る彼に訊ねた。
「そういえば…どうして今日、行くことになったの?」
向かう先は本来、明日行くはずだったのに。
南の方へ目を向けると、お互いの視線がぶつかった。