【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


「…奈々、」




そんな曇った心中に、お父さんの少し低い声が届く。




シン…と静まったそこに、緊張感が広がった。




「奈々には色々と…話さないとならないことがある」


「……、」




さっきの笑顔がまるで嘘だったかのように、真剣な眼差しがあたしへ向けられた。




「奈々、お前は──…」


「結城財閥の娘、でしょう?


…大丈夫。もうこんな所に連れて来られた時点で大体納得したから」




ホントはね。


少し前から思ってた。




〝やっぱりそうなのかな〟って──。




< 35 / 208 >

この作品をシェア

pagetop