【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「…奈々、」
そんな曇った心中に、お父さんの少し低い声が届く。
シン…と静まったそこに、緊張感が広がった。
「奈々には色々と…話さないとならないことがある」
「……、」
さっきの笑顔がまるで嘘だったかのように、真剣な眼差しがあたしへ向けられた。
「奈々、お前は──…」
「結城財閥の娘、でしょう?
…大丈夫。もうこんな所に連れて来られた時点で大体納得したから」
ホントはね。
少し前から思ってた。
〝やっぱりそうなのかな〟って──。