【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


「…お前はその事故のせいで、記憶を喪ったんだ」


「えっ…!?そんな…、そんなはずない!だってあたし、ちゃんと事故に遭う前の記憶、あるよ…?」




ちゃんと覚えてるのに。




お父さんのことだって、


お母さんのことだって──…




ちゃんと、覚えてるはずなのに。




「…事故前の記憶の一部が、綺麗に無くなっていた」




…嘘。




「…奈々、お前が無くしたのは結城財閥の社長の娘として育った記憶だ…」




…そんなの、嘘。




「お前は覚えていないかもしれないが…あの日以来、生活の全てが一変したんだ」




…嘘に、決まってる。




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