【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「それ以来、奈々の言う〝普通の生活〟に合わせることにした」
「何、で…?」
意味わかんないよ。
だったら普通に、前までの生活を続ければ良かったのに。
ねぇ、どうしてあたしの記憶に合わせる必要があったの…?
「…拒否、したからよ」
答えたのは、しばらく押し黙っていたお母さんだった。
「奈々はね、結城財閥の記憶を思い出そうとすると何故か拒否反応が出たの…。お医者様と相談して、今後はしばらく様子を見よう、って──」
──だから。
だからあたしのために、今までそれを隠してた…ってこと?
「私もお父さんも、決してあなたを騙していたわけじゃないの。それだけは、ちゃんと奈々にわかってほしい…」