【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「母さんの言う通りだ。…奈々、わかってくれるね?」
「……うん…、」
納得なんて、とてもできないけれど。
でも今、確かにここにあるのは無理にでも受け入れるほかないこの真実。
信じるしか、ない。
「…奈々には悪いことをしたと思っている。何の説明も無しに、学園へ転入させてしまって」
「お父さん…」
「賭け、だった。正直、奈々が学園の生活を送ることでまた発作が起こるんじゃないかと心配だった」
「……」
「だがもうその心配はないようだ。これからは少しずつ結城財閥のことを思い出してくれれば、それでいい」
お父さんは優しく、そして小さく微笑んだ。