【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


「結城 奈々(ユウキ ナナ)様…お待ちしておりました」


「奈々様ぁ!?えっ、あたし?」




爽やかな笑顔でコクリと頷いたのは

とても顔の整った、燕尾服姿の見知らぬ男。




「あなた…誰…?」



声を絞り出すように、あたしは彼に向かって言った。




「申し遅れました。私、南と申します。奈々お嬢様の執事でございます」


「しつ、じ…?」




彼の言葉を理解できず、ぽかんと口を開けて唖然とするあたし。




“シツジ”って、何…?




すると、見覚えのある人影が

手を振りながらだんだんとこちらに向かって近づいてくるのがわかった。




あれは──…




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