【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


片膝をつき、あたしと目線を合わせた彼が静かに口を開いた。


「夏川様と──…

…エミリ様と、何をお話しになられたのですか?」




ビクッと、心臓がさらに跳ねあがる。


そんなの…

そんなの、答えられるわけないよ…。


「……………」


「答えて下さい、奈々様」




口を閉ざすあたしの手を

南はその大きくて温かい両手で、そっと優しく包み込んだ。




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