【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


「…奈々っ…」


真宝の弱々しい声が、ざわめく教室内に消えていった。


それでもその場から離れようとしない彼女は

悲しい瞳であたしを見つめる。




俯くあたしと

視線が交わることは、ない。




決して穏やかとは言えない空気が、あたし達二人を包み込んだ。




「………っ…」




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