「「お前が…」」 (司&稔)
岸田 稔
司さんが………俺を嫌ってるのは……知ってる。
でも、俺は試合に出ないといけない理由がある。
「何かごめんな?俺が勝手に辞めたから……」
「ぃえ…」
天野先輩は俺と普通に会話してくれるけど、司さんがなぁ……。
「勝てよ」
俺が初めて出る試合。
先頭バッターな俺。
「アイツはプレーでひかすしかダメだな(笑)」
「?」
「岸田……多分司は……少しは許してるんだ。もぅ少しだから」
「はい」
何だか……
肩が強く押されてるみたいに重いんだ。
あぁ……これが……天野先輩の掛けたプレッシャーが…………。
重いな……。
重すぎる。
今にも倒れそうだ。
「天野先輩……」
「ん?」
天野先輩の大きなくりっとした目が俺を見る。
「試合、勝ちますよ」
「頼もしい奴だなっ」
そぅニカッと笑った。
開始のサイレンが鳴った。
こんなに先頭が凄いと思ったのは……初めてなんだ。
みんな必死で、
俺も必死なんだって。
負けないように、頑張った。
カキ――――ンッ!!!!
高い金属音がした。
前に……白球が飛ぶ。