優しい嘘
智江が尋ねても、彼女は意外に落ち着いていた。
そして、自分のしたことに全く罪の意識を持っていなかった。
「―あなた、自分のしたこと分かっているの?!一つの家族が失ってしまうかもしれないのよ?! その意味分かる?」
彼女は
これ以上のことは臨んでいない。
ただ、俊光と一緒にいたいだけ、
智江は彼と家庭を持っている、これ以上の幸せはないではないか、
そう言った。
その時、
以前彼に土下座をして頼み込んだ瞳と同じ瞳をしていた。
自分には真似出来ない、純粋に彼を求めている瞳。