優しい嘘
智江と瑠美は実家に戻ることになった。
瑠美の学校の転校手続きも済み、
少しずつ荷物の整理も済み、
いよいよ彼と別れる時が来た。
「…最後にひとつ、聞いてもいい?」
「ああ」
「私のこと、愛してた?」
「当たり前だろ」
「私もよ」
俊光は微笑んでいた。
優しい瞳。
久しぶりに彼の優しさを感じた。
「瑠美、嫌がっても会いに行くからな。覚悟しとけよ」
「分かった。
お父さん、元気でね」
瑠美もああ言っていたが、涙ぐんでいた。
「智江
今まで、ありがとう」
智江は彼の前では決して泣かなかったが、
今日だけは泣きたくなった。
しかし、智江は微笑み
「ありがとう」
そう言い、
智江と瑠美は俊光と別れた。