応援団長の恋するチョコレート
「おい、勇太
俺のビールを飲んだか?」

親父が冷蔵庫を開けるなり
叫んだ

仕事が終わるなり
『癒しの水だ』とか言って飲むのが
日課だから

本数は気にしていると思っていた

俺の視線は母親にいく

母さんは知らんぷりをしていた

「俺は飲んでない」

「他に飲む人がいないだろ」

「いるだろ!」

「あら、お兄ちゃんは
目の前にいる美しい女性は庇ってくれないの?」

母さんが
上目遣いで
可愛い女性のふりをする

「あー、俺
これから出かけるから」

「東條さんの家?」

母親の目が光った

「まあ、そんなとこ」

「頑張ってらっしゃい
なんなら、
パパのゴムを持ってく?」

「こら、毬依!」

父親の顔が真っ赤になった

「しばらく使ってないし
いいじゃない
1個ぐらい」



俺の両親は変だ

とくに母親が

でも俺にとっては
ありがたい両親だ
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