社会人と女子高生2
夜風に当たっていたせいか、くしゃみが出た。


「言ってるそばから…。」


そう言って浅賀さんは、私を包み込むように抱きしめた。


「あ、浅賀さん…。」


「心配性なのは、由香里だけじゃないよ。俺だって由香里のこと、心配で仕方ないんだ…。」


そうか…私だけじゃなかったんだ…。


浅賀さんも同じ気持ちなんだ…。


お互いの気持ちを確かめ合うように抱き合う。


浅賀さんの心臓の音と私の心臓の音が、混ざり合って大きく聞こえる。


「あ、そうだ…はい、由香里。」


何かを思い出した浅賀さんは、スーツのポケットから小さい箱を取り出した。
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