恋する時
「俺の勝ち!!」
ガクッと項垂れて、放心状態の私。
そんな私の頭の上から
「少しは元気出た?」
えっ…?
ゆっくり顔を上げると。
ニコッっと笑って私を見てる野村君と目が合った。
……ドキッ…
きっと…顔…赤いかも…
「何?赤い顔して…俺の事、意識しちゃった?」
「ち、違ッ…」
野村君の手が伸びてきて、私の頬に触れた。
「髪、食べてる…」
そう言って、頬に掛かる髪を優しく払ってくれた。
ほんの少し、指先が触れただけなのに頬が熱くなる。
何でもない行為なのに、急にドキドキしてしまう。
耐えられなくて私は下を向いた。
「帰ろうか…」
私は顔を上げられずに黙って頷いた。