何も言えない程、
バレンタインの日に両想いなんて、こんな……。
こんな………。
「付き合って…くれる?」
俺がそう聞くと、陽菜ちゃんは顔を真っ赤にして、ゆっくり頷く。
「入江くん……あの、名前で呼んでいい?」
「いいよ……。俺も、陽菜って呼ぶから」
ガラッ
思い切り教室のドアが開いたと思ったらそこに立っていたのは、睦月だった。
今の、聞こえてた?
睦月はかなり不機嫌なようだ。
「…おはよ、睦月」
「………!おはよ……」
久しぶりに交わす会話。
睦月の声は、何だか震えていた気がした。