何も言えない程、
「…睦月………。何で、あんなこと…」
そして睦月は、思いがけない言葉を口にした。
「お前が……佐介が、ずっと好きだったから」
涙が止まらなかった。
今まで何も知らずに、睦月と笑い合って過ごしてきた。
睦月は俺の恋愛相談を、どんな気持ちで聞いていた?
好きだと言ったら俺に嫌われると恐れて、何も言えずにそばにいたのか?
こんなにも近くにいたのに、何で気付かなかった?
小学生の頃から一緒にいて、お互いのことはわかっていたつもりだった。
何で?
何でわからなかった?
いや、一緒にいたからこそ、わからないこともあるのかもしれない。