何も言えない程、
嫌いになんてなれない俺を
どうして?
どうして、切ない?
どうして涙が止まらない?
どうしてまだ、
嫌いになれない?
あんなひどいことをされたのに。
「佐介……ごめん。付き合ってほしいとか許してほしいとかじゃないんだ。ただ、伝えたかっただけだから」
睦月はそっと俺を抱き締めてきた。
俺の体はあの時の感覚を恐れ、一瞬ビクッと反応した。
「お前が陽菜のことを好きなのはわかってる。だけど、俺はお前を諦めたくない。
…気持ち悪いとか思うかもしれないけど、好きで好きでたまらない……」
気持ち悪いなんて思わない。
確かに俺も睦月も男で、あんなこと……二度とされたくない。
それでも、俺は睦月が好きなんだと思う。
これは恋愛感情?
それともただの友情?