何も言えない程、
家に帰ってきたけれど、何をしたらいいのかわからない。
ベッドに寝転んだところで、田島からの着信。
「もしもし」
《もしもし、入江?》
「うん」
《単刀直入に聞くわ。
お前さ、吉津と夏目、結局どっちが好きだったわけ?》
「どっちって………」
両方、なんて答えられるわけない。
《じゃあ、お前の今の選択肢は、吉津、夏目、早倉の3つ?》
「うん……」
次の瞬間、田島は思いがけないことを言った。
《その選択肢に、俺も増やしといてよ》