何も言えない程、
――――翌日―――――
「おはよう、入江くん」
たまたま早起きしたから、いつもより早く学校に着いた。
誰もいないと思って教室に入ると、愛しいあの子が笑顔で挨拶してくれた。
突然声をかけられたことへの戸惑いと、近くで笑顔を見れたことへのドキドキが俺の中でグルグル回る。
極力それを態度に出さないように、
「おはよ」
と返す。
陽菜ちゃんと話すときだけは、睦月とのことを忘れられる気がした。
なんて幸せな時間。
それは何だか暖かい日だまりのような優しさで、俺を包む。