冬うらら2

 意味が分からなかった。

 カイトに手伝いをしてもらうとなると、週末しかない。

 週末は、本当は休みの日で。

 それを手伝いで潰してしまうのに、どうして喜ぶと言うのだろうか。

 だから、どうしてか、と彼女に聞いたのだ。

 そうしたら、苦笑されてしまった。

『男って生き物はね、好きな女性からは頼られたいものらしいわよ』

 最後はウィンクだ。

 かっと。

 その時、メイは、恥ずかしくて真っ赤になってしまったのだ。

『好きな女性』―― カイトがそう思っている相手が、自分だとハルコが言うのである。

 確かに。

 言葉にすれば、そうであるに違いなかった。

 でなければ、結婚なんて出来るはずがないから。

 しかし、そうやって改めて言葉に出して、しかも他人から言われると、全身が燃え上がるほど恥ずかしくなってしまうのだ。

 だから、勇気を出して昨日カイトに聞いてみたのである。

 ハルコの言った言葉を裏付けるようなことは何もなかったけれども、彼は引き受けてくれた。

 なのに、彼のいない朝が来る。

 どこに行っちゃったんだろう。

 約束を忘れたり、すっぽかしたりする人のようには思えなかった。

 それとも、メイが知らなかっただけで。

 いや、違う。

 カイトが理由もなく、そんなことをするはずがない。

 きっと、何か急ぎで大切な仕事が入ってしまったのだ。

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