冬うらら2
□22
 普通なら、仕事終了である午後6時。

 カイトは時計を確認した後、席を立ち上がった。

 別に、帰るワケじゃねーぞ。

 背中で、それを主張する。

 何故なら、彼は上着を椅子にかけたままだったからだ。

 メイにも、遅くなると朝言って出てきたのだ。

 いま帰りたいのは、本当の気持ちだけが、そうするワケにはいかなかった。

 あたかも、タバコでも買いに行くような動きでエレベーターを降りる―― が、地下まで降りた。

 駐車場だ。

 駐車場に暖房は利いているはずがないので、シャツ姿の彼は非常に寒い思いをしたが、すぐ車に乗ってしまうので、大したことじゃない。

 守衛を横目に、彼は暗い街に滑り出た。

 高い車のいいところは、ヒーターだのクーラーだのの効きが早いところだ。

 冷たい車内に、熱風が吹き付けてくるのにほっとしながら、カイトは運転を続ける。

 目的地は、はっきりしていた。

 が。

 問題が発生した。

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