冬うらら2

 後から、電話が入るかもしれない。

 電話!

 そこで、はっとメイは思い出した。彼のケイタイ番号を聞いていたのだ。

 急いで電話機のところに走って行く。

 それから、受話器を上げて―― すぐ目に付くところに貼っている、カイトのケイタイ番号を押そうとした時。

 車の音が。

 車が、この家の庭に入ってきた音がしたのだ。

 ゴトッ。

 メイは、コードレス電話を置いた。

 慌ててしまったので、少し大きな音になってしまったが、それに構っている余裕はなかった。

 急いで玄関に駆けつけ、ドアを開ける。

 そこには。

 あっ。

 メイは、緑の目を大きく見開いた。

 玄関の前に、ちょうど車は止まるところだった。

 運転しているのはカイトだ。

 彼の視線が、自分を捕らえたのが分かる。

 その瞳に、吸い込まれそうになった。

 しかし、いろいろな疑問も、いま同時に分かった。

 冷たい冬の朝。


 家に帰ってきたカイトは―― 軽トラに乗っていたのだ。



< 11 / 633 >

この作品をシェア

pagetop