冬うらら2
01/20 Thu.
□25
仕事で遅くなる。
そんなのは、最初から分かっていることだったし、出がけにメイにも伝えてきた。
さすがに何日か目になると、その言葉も予想がついているのか―― しかし、彼女の瞳から、完全に揺らぎを消してしまえたワケではなかった。
だから、ぎゅっと抱きしめる。
納期というラスボスとの戦いから、自分一人抜け出すワケにはいかなかったのだ。
しかし、今日も少し抜け出さなければならなかった。
宝石店は、深夜まで開いているワケじゃないのだ。
支払いは昨日済ませていたので、とにかく受け取る。
昨日の女店主が、ケースを開けて仕上がりを確認させようとしたが、その柔らかい空気に耐えきれず、宝石強盗のように奪い取ってきた。
結婚式というものを、やたら意識している白いケースなのも、狂おしく落ち着かなかった。
車に戻るなり、ダッシュボードの中に突っ込んだ。
これから、まだ彼は仕事をしなければならなかったし、変に持ち歩いて落としたり、人に見られたりでもしたら大変である。
忘れて帰らないためにも、ここが一番間違いなかった。
帰ったら。
これを、彼女に。
職場に戻って仕事を続けたが―― どうにも、集中できなかった。
仕事で遅くなる。
そんなのは、最初から分かっていることだったし、出がけにメイにも伝えてきた。
さすがに何日か目になると、その言葉も予想がついているのか―― しかし、彼女の瞳から、完全に揺らぎを消してしまえたワケではなかった。
だから、ぎゅっと抱きしめる。
納期というラスボスとの戦いから、自分一人抜け出すワケにはいかなかったのだ。
しかし、今日も少し抜け出さなければならなかった。
宝石店は、深夜まで開いているワケじゃないのだ。
支払いは昨日済ませていたので、とにかく受け取る。
昨日の女店主が、ケースを開けて仕上がりを確認させようとしたが、その柔らかい空気に耐えきれず、宝石強盗のように奪い取ってきた。
結婚式というものを、やたら意識している白いケースなのも、狂おしく落ち着かなかった。
車に戻るなり、ダッシュボードの中に突っ込んだ。
これから、まだ彼は仕事をしなければならなかったし、変に持ち歩いて落としたり、人に見られたりでもしたら大変である。
忘れて帰らないためにも、ここが一番間違いなかった。
帰ったら。
これを、彼女に。
職場に戻って仕事を続けたが―― どうにも、集中できなかった。