冬うらら2
□
はぁ。
いつもの倍、仕事で疲れたような気がする。
指輪のことは、彼女も知っているはずなのに、これから渡すとなると、やたら緊張してしまうのだ。
自宅の玄関前で、一度深呼吸してドアを開ける。
指輪は上着のポケットの中。
あんまり触ると、カイトの手垢で汚しそうになるくらい白いので、ポケットに手を突っ込んだきり確認したりしなかった。
慣れない形の存在を、カイトはしっかりと感じていた。
ドアの向こうは。
「おかえりなさい!」
深夜だったが、メイはやっぱり起きていた。
彼女の笑顔が視界に入ってきただけで、ドキドキする。
どうやって切り出したらいいか、分からなかった。
カイトは、目の前で戸惑った。
何も言わなくてもいい。
黙ってでもいいから、とにかく渡せ!!
自分に激しく叱咤を与えた。
そうして、ポケットの中に手を突っ込もうとした時。
「ご飯、あたためるね」
ボヤボヤしているうちに、パジャマ姿はダイニングに向かってしまったのだ。
あ。
カイトは悔やんだ。
指輪を渡すどころか、抱きしめることさえすっかりおろそかにしてしまったのだ。
ようやく、彼女に会えたというのに。
何やってんだ。
まるで、これから決死の覚悟で、プロポーズでもするかのような気分だった。
今更、彼女が指輪を受け取るのを、拒否するはずもないのに。
自分のペースに持ち込めないまま、彼はおとなしく餌付けされることとなった。
彼女はやはりお茶を飲み、自分はご飯を食べる。
はぁ。
いつもの倍、仕事で疲れたような気がする。
指輪のことは、彼女も知っているはずなのに、これから渡すとなると、やたら緊張してしまうのだ。
自宅の玄関前で、一度深呼吸してドアを開ける。
指輪は上着のポケットの中。
あんまり触ると、カイトの手垢で汚しそうになるくらい白いので、ポケットに手を突っ込んだきり確認したりしなかった。
慣れない形の存在を、カイトはしっかりと感じていた。
ドアの向こうは。
「おかえりなさい!」
深夜だったが、メイはやっぱり起きていた。
彼女の笑顔が視界に入ってきただけで、ドキドキする。
どうやって切り出したらいいか、分からなかった。
カイトは、目の前で戸惑った。
何も言わなくてもいい。
黙ってでもいいから、とにかく渡せ!!
自分に激しく叱咤を与えた。
そうして、ポケットの中に手を突っ込もうとした時。
「ご飯、あたためるね」
ボヤボヤしているうちに、パジャマ姿はダイニングに向かってしまったのだ。
あ。
カイトは悔やんだ。
指輪を渡すどころか、抱きしめることさえすっかりおろそかにしてしまったのだ。
ようやく、彼女に会えたというのに。
何やってんだ。
まるで、これから決死の覚悟で、プロポーズでもするかのような気分だった。
今更、彼女が指輪を受け取るのを、拒否するはずもないのに。
自分のペースに持ち込めないまま、彼はおとなしく餌付けされることとなった。
彼女はやはりお茶を飲み、自分はご飯を食べる。