冬うらら2

 何とか食事を終えて、部屋まで戻る。

 今までの流れでいけば、これからカイトは風呂場に直行という話になるのだ。

 メイはすでにパジャマなのだから、風呂が終わっていることは明白だし。

 うー。

 指輪はまだ、ケースごと上着のポケットのまま。

 このまま風呂に行き、彼もパジャマに着替えて戻ってきて、お互い綺麗な身体で改めて――

 だー!!!!!

 そうなれば、メイの感謝とか戸惑いとかの視線にさらされても、彼は絶対に逃げられない状況になるではないか。

 こんなに、いたたまれないことはない。

 ちらと彼女を見ると、ソファにちょこんと座っていて。

 そこで、彼がお風呂の間待つのだろう。

 しかし、いつもただ待っている時間、つまらなくないのか。

 メイが、そういう時間に何か楽しめるようなものを。

 そう考えかけたけれども、いまのカイトの思考はそれどころではなかった。

 その案件は、後回しだ。

 今は。

 上着のポケットからケースを掴みだした。

 結婚結婚しい真っ白のケースなのが、余計に仰々しさを増している。

 その色を見ないようにしながら。

「手ぇ、出せ」

 ソファの横に立つと、カイトは重い顎を動かした。

 本当に、鉛のように感じる。

「え?」

 見上げてくる彼女の丸い額が、前髪からこぼれて―― 初めて見るような顔になった。

 それが、カイトの気持ちを騒がせる。

 驚きながらも、メイは両手で水をすくうように合わせる。

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