冬うらら2
□
この家の中で―― 唯一、彼女とひとつになることが許されているエリアが、すぐそこにあるのだ。
『優しくしてやれ!』という、消えかけた理性の声が聞こえた。
カイトは、ベッドの側で急停止した。
理性がいなければ、彼女を乱暴にひっくり返していたかもしれない。
「寝るぞ…」
押し殺した声を出す。
これで。
これで、全て彼女に伝わるはずだ。
いま、カイトがどれほどメイに荒れ狂っているかが。
拒まれるはずがない。
ふかふかで上を歩くには安定の悪いエリアは、メイが絶対に『イヤ』だとは言わない場所なのだ。
彼女と身体を触れ合わせてからというもの、『ただ眠る』だけだったベッドが、一瞬にして黄金郷になった。
毎日、意識を眠りに奪われるのが、憎らしいくらいである。
「あ、待って…」
拒まれるはずがない―― ハズだったのに。
アクセルを、ブンブン吹かしているカイトのサイドブレーキを、彼女はギッと引いてしまったのだ。
心の中で、カイトの車は激しくスピンした。
峠だったら、いまごろガードレールを突き破って、綱無しバンジーだったに違いない。
なっ。
何でだ?
驚いた目のまま、ばっと彼女の方を向く。
何を、彼女は待てと言うのか。
カイトに対して、こんな残酷なことはなかった。
そんな彼の目の前に。
白い。
「あ?」
カイトは、間抜けな声になってしまった。
慌てていま出た言葉をナシにしたくても、もう無理だ。
既に、口から飛び出してしまったのだから。
この家の中で―― 唯一、彼女とひとつになることが許されているエリアが、すぐそこにあるのだ。
『優しくしてやれ!』という、消えかけた理性の声が聞こえた。
カイトは、ベッドの側で急停止した。
理性がいなければ、彼女を乱暴にひっくり返していたかもしれない。
「寝るぞ…」
押し殺した声を出す。
これで。
これで、全て彼女に伝わるはずだ。
いま、カイトがどれほどメイに荒れ狂っているかが。
拒まれるはずがない。
ふかふかで上を歩くには安定の悪いエリアは、メイが絶対に『イヤ』だとは言わない場所なのだ。
彼女と身体を触れ合わせてからというもの、『ただ眠る』だけだったベッドが、一瞬にして黄金郷になった。
毎日、意識を眠りに奪われるのが、憎らしいくらいである。
「あ、待って…」
拒まれるはずがない―― ハズだったのに。
アクセルを、ブンブン吹かしているカイトのサイドブレーキを、彼女はギッと引いてしまったのだ。
心の中で、カイトの車は激しくスピンした。
峠だったら、いまごろガードレールを突き破って、綱無しバンジーだったに違いない。
なっ。
何でだ?
驚いた目のまま、ばっと彼女の方を向く。
何を、彼女は待てと言うのか。
カイトに対して、こんな残酷なことはなかった。
そんな彼の目の前に。
白い。
「あ?」
カイトは、間抜けな声になってしまった。
慌てていま出た言葉をナシにしたくても、もう無理だ。
既に、口から飛び出してしまったのだから。