冬うらら2
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メイは、一度指輪に触れる自分の指の角度を調整しなおした後、一生懸命な顔でぐっと力を入れた。
皮膚を擦る感触の後、かすかな拘束感が薬指の根本にあった。
ついに。
彼の左手に、おさまってしまったのである。
しかし、はめ終わったからといって、メイはすぐに手を離してしまわなかった。
そのまま、じっと彼の指輪をみているのである。
顔が上がる。
「ほら…すごく似合う」
嬉しさを隠しきれない瞳が、カイトを見上げた。
どこが似合うんだ、と自分では思う。
まだ、しっかりじっくりとは眺めていなけれども。
なのに、彼女がこんなに喜んでくれたのだ。
すごく幸せそうである。
この指輪が、メイを幸せにしたのだ。
ひいては、カイトの考えで彼女を幸せに出来たのである。
オレが。
いまのメイの笑顔を作ったのだ。
クッ!
バンッと、身体の中がバーストした。
この指輪騒動の直前まで燃えていた炎は、鎮火していなかったのだ。
燃え続けていた炎に、油が降り注いだのである。
彼女の笑顔と、それを取り巻くいろいろなことのせいで。
クソッ!
その衝動を、今度は止められなかった。
1%未満といわれる理性の声は、彼には届かなかったのである。
『優しく』、という声だったのに。
愛おしいという気持ちだけで出来た、火の生き物になる。
「あっ…!」
いまの時間も、明日の朝のことも―― カイトは何も考えられなかった。
ベッドの端から、白いケースが転がり落ちた。
メイは、一度指輪に触れる自分の指の角度を調整しなおした後、一生懸命な顔でぐっと力を入れた。
皮膚を擦る感触の後、かすかな拘束感が薬指の根本にあった。
ついに。
彼の左手に、おさまってしまったのである。
しかし、はめ終わったからといって、メイはすぐに手を離してしまわなかった。
そのまま、じっと彼の指輪をみているのである。
顔が上がる。
「ほら…すごく似合う」
嬉しさを隠しきれない瞳が、カイトを見上げた。
どこが似合うんだ、と自分では思う。
まだ、しっかりじっくりとは眺めていなけれども。
なのに、彼女がこんなに喜んでくれたのだ。
すごく幸せそうである。
この指輪が、メイを幸せにしたのだ。
ひいては、カイトの考えで彼女を幸せに出来たのである。
オレが。
いまのメイの笑顔を作ったのだ。
クッ!
バンッと、身体の中がバーストした。
この指輪騒動の直前まで燃えていた炎は、鎮火していなかったのだ。
燃え続けていた炎に、油が降り注いだのである。
彼女の笑顔と、それを取り巻くいろいろなことのせいで。
クソッ!
その衝動を、今度は止められなかった。
1%未満といわれる理性の声は、彼には届かなかったのである。
『優しく』、という声だったのに。
愛おしいという気持ちだけで出来た、火の生き物になる。
「あっ…!」
いまの時間も、明日の朝のことも―― カイトは何も考えられなかった。
ベッドの端から、白いケースが転がり落ちた。