冬うらら2
01/21 Fri.
♪30
朝礼で、チーフが言った。
「第一開発チームが、これから本格的に忙しくなりそうですので、うちのチームからも応援を出そうと思いますが……」
「はいはいはいはい!!! 私! 私、行きます!!!!」
大きな声で、はっきりと。
手まで挙げて主張すれば、気づかれないはずもなかった。
※
やったー! ラッキー!!!!
彼女は、廊下を飛び跳ねるように歩きながら、第一開発室の方に向かっていた。
入社1年目で、こんな幸運が回ってくるなんて。
そこら中の人たちを捕まえて、くるくる回ったり踊ったりしたいくらいだった。
彼女の名前は―― ハナ・トリカイ。
昔からの知り合いは、彼女のことを『トリカイ3号』と呼ぶ。
何で3号かというと。
彼女には、姉妹がいるのだ。
正確に言うなら、三姉妹である。
年はひとつずつ違うのに、どんな遺伝子のいたずらか、三人とも見た目だけは異様にそっくりなのだ。
栗毛に、黒というより濃紺に近い瞳。
しょうがなく、髪型で見分けられるようにしている。
年齢が下にいくに従って、髪が短くなっていくのだ。
その三姉妹の中で、一番年が下で髪が短いのがハナだった。
上から、ユキ、ツキ、ハナ。
トリカイ家の「雪月花」と呼ばれた方が、風情があっていいのに。
何で、3号。
ぷんぷんと、その事実に怒りまくる彼女は、とてもとても気が強い。
どのくらい気が強いかと言うと、入った大学で教授と一悶着やらかして、とっとと退学してしまったくらいだ。
だって、あの高慢ちきの教授、ムカつくんだもん。
名前は何と言ったっけ、アカイだかアオイだか。
大学まで入って、どうしてあんな生活指導みたいな男に捕まって、説教されなければならないのか。
朝礼で、チーフが言った。
「第一開発チームが、これから本格的に忙しくなりそうですので、うちのチームからも応援を出そうと思いますが……」
「はいはいはいはい!!! 私! 私、行きます!!!!」
大きな声で、はっきりと。
手まで挙げて主張すれば、気づかれないはずもなかった。
※
やったー! ラッキー!!!!
彼女は、廊下を飛び跳ねるように歩きながら、第一開発室の方に向かっていた。
入社1年目で、こんな幸運が回ってくるなんて。
そこら中の人たちを捕まえて、くるくる回ったり踊ったりしたいくらいだった。
彼女の名前は―― ハナ・トリカイ。
昔からの知り合いは、彼女のことを『トリカイ3号』と呼ぶ。
何で3号かというと。
彼女には、姉妹がいるのだ。
正確に言うなら、三姉妹である。
年はひとつずつ違うのに、どんな遺伝子のいたずらか、三人とも見た目だけは異様にそっくりなのだ。
栗毛に、黒というより濃紺に近い瞳。
しょうがなく、髪型で見分けられるようにしている。
年齢が下にいくに従って、髪が短くなっていくのだ。
その三姉妹の中で、一番年が下で髪が短いのがハナだった。
上から、ユキ、ツキ、ハナ。
トリカイ家の「雪月花」と呼ばれた方が、風情があっていいのに。
何で、3号。
ぷんぷんと、その事実に怒りまくる彼女は、とてもとても気が強い。
どのくらい気が強いかと言うと、入った大学で教授と一悶着やらかして、とっとと退学してしまったくらいだ。
だって、あの高慢ちきの教授、ムカつくんだもん。
名前は何と言ったっけ、アカイだかアオイだか。
大学まで入って、どうしてあんな生活指導みたいな男に捕まって、説教されなければならないのか。