冬うらら2

 相手は、彼女の性別には、さして興味がないのだ。

 そして、履歴書も。

 誰が試験の結果をチェックしたかは謎だが、かなり見る目のある人物だと思った。

 そして、そういう見る目のある人間のところで仕事が出来るのを、ハナは望んでいたのである。

『明日から行きます!』

 それから1年弱。

 メインのどでかいタイトルRPGは、第一開発チーム。

 シミュレーション系が、第二開発チーム。

 そして、その他のゲームを預かっているのが第三開発チームだ。

 ハナが配属されたのは、第三開発チームだった。

 彼女の希望としては、どでかい仕事がやってみたかったので、第一を希望していたのだが、さすがに入社したてでそれは無理だったようだ。

 配属を聞かされた時、ちぇっと思ったものだった。

 しかし、ついに第一のドアを開けて、入ることが出来るのだ。

 わくわくしながら、彼女は足早にその扉に近づいた。

 ほかにも応援の人はいるのだが、どうしても後から一緒に歩いて行くのが耐えられなかったのである。

「失礼しまーす! 第三から応援にきましたー」

 我知らず、愛想がよくなってしまう。

 何しろ、あこがれぶっちぎりなのだ。

 にっこにこで元気だった。

「あぁ?」

 しかし。

 ビクッッ。

 ハナは、反射的に身体が逃げてしまった。

 どよーんとした、無精ひげの目に見つかってしまったからである。

 どこの『自由人』かと思えば、開発の人たちだということが分かった。

 色の変わりかけたようなシャツのまま、頭をかいている。

 どう見ても、数日泊まり込んでいる人たちでいっぱいだった。

 きったなー!!!!!!

 驚きの光景である。

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