冬うらら2

 おまけに。

 ラストが。

 くやしー!!!!!!

 いままで、何度かラストまではたどりつくことが出来たのに、いつもあの小娘に。

 そんな風に、ハナが思い出し怒りをしていた横で。

「おや…」

 チーフが、そんな社長の方向を見て、面白そうに目を細めた。

「…?」

 彼女も何事かと思ってそっちを見るが、別段おかしなところは見つからなかった。

 チーフは。

 ほかのスタッフを一人捕まえて、小さな声で言った。

「社長の左手、見てみろ」と。

 左手????

 自分に言われたワケではないが、ハナは素直に従った。

 ちょっと角度が悪くて見えなかったので、ととと、と動いて位置を調整する。

 左手がどうか――


「あー!!!」


 二つ目の噂を、思い出してしまって、つい大声を出した。

 冬眠中のクマも、絶対飛び起きたに違いない音量だった。


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