冬うらら2
◎
「なにもかもが唐突でいきなりで、気づいたら…今日になってた、みたいな感じで…あ! あの、その…幸せじゃないとかそういうことじゃなくて…すごく、幸せなんですけど…まだ、やっぱり実感がなくて」
こういう話は、カイトには出来ないに違いない。
彼に話そうものなら、きっと怒鳴られてしまうだろうから。
それを想像すると、ハルコはおかしくなった。
カイトなら、彼女にどう『実感』とやらを持たせようと努力するのだろうか―― と想像してしまったせいだ。
メイの不安も、もっともだと思った。
これまで、カイトと積み重ねてきたものが、あまりに少ないのだ。
きっと、まだお互いのことを、ほとんど知らないに違いない。
ちゃんと、彼らは家で会話を交わしているのだろうか。
今まで、そういうシーンというものを、ほとんど見たことがないような気がする。
交わしているとするなら、どんな会話をだろうか。
しかし、それをハルコたちが見ることは、難しいだろう。
彼ら夫婦が現れると、カイトは臨戦態勢になるからだ。
ソウマが、いつもからかうせいよ。
自分を棚上げして、夫を軽く責める。
確かに、カイトに分かるようにからかうのは、ソウマの方なのだ。
まだハルコ相手の方が、彼も情状酌量してくれているような気がする。
「どうせカイト君のことだから、あなたが安心するほど、『好きだ!』とか言ってくれないんでしょう? 『おまえしかいねぇ!』とかも言ってなさそうねぇ」
彼女の気持ちを持ち上げるように、ハルコはわざとカイトの口真似をした。
勿論、そんなことを言ったのは聞いたことがないけれども、言うとしたらこんなカンジだろう、と。
「そっ、そんな!!」
笑うかと思いきや、メイは真っ赤になって飛び上がった。
滅相もない、というカンジだ。
「なにもかもが唐突でいきなりで、気づいたら…今日になってた、みたいな感じで…あ! あの、その…幸せじゃないとかそういうことじゃなくて…すごく、幸せなんですけど…まだ、やっぱり実感がなくて」
こういう話は、カイトには出来ないに違いない。
彼に話そうものなら、きっと怒鳴られてしまうだろうから。
それを想像すると、ハルコはおかしくなった。
カイトなら、彼女にどう『実感』とやらを持たせようと努力するのだろうか―― と想像してしまったせいだ。
メイの不安も、もっともだと思った。
これまで、カイトと積み重ねてきたものが、あまりに少ないのだ。
きっと、まだお互いのことを、ほとんど知らないに違いない。
ちゃんと、彼らは家で会話を交わしているのだろうか。
今まで、そういうシーンというものを、ほとんど見たことがないような気がする。
交わしているとするなら、どんな会話をだろうか。
しかし、それをハルコたちが見ることは、難しいだろう。
彼ら夫婦が現れると、カイトは臨戦態勢になるからだ。
ソウマが、いつもからかうせいよ。
自分を棚上げして、夫を軽く責める。
確かに、カイトに分かるようにからかうのは、ソウマの方なのだ。
まだハルコ相手の方が、彼も情状酌量してくれているような気がする。
「どうせカイト君のことだから、あなたが安心するほど、『好きだ!』とか言ってくれないんでしょう? 『おまえしかいねぇ!』とかも言ってなさそうねぇ」
彼女の気持ちを持ち上げるように、ハルコはわざとカイトの口真似をした。
勿論、そんなことを言ったのは聞いたことがないけれども、言うとしたらこんなカンジだろう、と。
「そっ、そんな!!」
笑うかと思いきや、メイは真っ赤になって飛び上がった。
滅相もない、というカンジだ。