冬うらら2

 ああ、もう。

 そう困りながらも、ホッとしたところもあったのだ。

 来月の結婚式の心配は、その点ではしなくてよくなったのだ。

 14日だから、まず余程のことがない限り、問題はないだろう。

 それ以前に。

 自分の思考に、かぁっと尚更赤くなってしまった。

 カイトと、その、そうなのだから、もしかしたら来なくなったら――とかも、ほんのちょっとだが考えたのである。

 それに関しては、どうやら取り越し苦労だったようだが。

 結婚式とは、自分の身体の事情とも折り合いもつけなければならない行事なのだと、実際自分に降りかかって初めて知った。

 ああ…。

 身体は健康なはずなのに、どうしてこの時だけ、自分の体調がおかしくなるのか、随分前から不思議だった。

 おなかや腰が痛いとかまでなら、何となく理由は分かるのだが、眠いとかだるいというのには困る。

 1年に1回くらいひどい時があるけれども、ほかは割と普通の生活が出来るメイはいい方だ。

 友達など、動けなくなる子もいて。

 もし、そんな風になってしまったら、いろいろカイトに迷惑をかけてしまうだろう。

 今月は、そんなにひどくなさそうだったので、それについても安堵していた。

 でも。

 そして、話題は最初に戻る。

 どうやって伝えよう。

 ただ一緒に眠るだけなら、こんな恥ずかしいことを、わざわざ自分の口から伝える必要はない。

 だが、もし『ただ一緒に眠るだけ』じゃなかったら。

 きゃー!!!!

 メイは、いまよぎった記憶を必死で追い払った。

 そうしている内に、車が入ってくる音がした。

 慌てて、紙袋の中にしまってクローゼットに隠すと、彼女は階下に迎えに行った。

 赤い顔を、一生懸命押さえながら。

「おかえりなさい…」

 照れくささに、うまく顔が見られなかった。

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