冬うらら2
●39
 い、言っちゃった。

 メイは、恥ずかしさに死にそうだった。

 言わなければいけないと、ずっと考えていたのだけれども、もうちょっと穏やかな表現方法はなかったのか。

 しかし、女に起きる現象を分かりやすく伝える言葉など、ほとんどないことに気づいたのだ。

『アレなの』なんて言葉はイヤだし。

『ダメな日なの…』じゃ、伝わらなさそうだし。

 結局、あんな直接的な言葉になってしまったのだ。

 頑張ろうと気負ったあまり、大きな声になってしまったのも恥ずかしさに拍車をかける。

 お風呂にも入ってないのに、熱々な身体になってしまったメイは、おそるおそる彼を盗み見た。

 一体、カイトがどんな反応をしているのか、気にならないはずがなかった。

 すると。

 彼は、目を大きく見開いたまま―― 石像になっていた。

 ああっ!

 その姿に、ますますいたたまれなくなってしまった。

 普通の男の人でも、きっとよく分からない現象だろうそれを、更にそういうのに疎そうなカイトに言ったのだ。

 驚かれて当然だった。

 言わなきゃよかった。

 彼女はそう思ったが、その気持ちが一時的な感情であることも知っていた。

 いつかは言わなければならないことだと、分かっていたハズだ。

 5日間ほどの日数を、同じベッドで過ごす間柄で、隠し通せるはずがなかった。

 黙っていると不自然な態度になって表れてしまい、カイトに誤解されそうだ。

 そんなのは、イヤだった。

 それくらいなら、恥ずかしい思いをしてもちゃんと言おうと。

 彼がお風呂に入っている間に、そう決意したのだった。

 しかし、いたたまれない。

 どんな言葉をかけられても、メイは恥ずかしかった。
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