冬うらら2

「だってしょうがないじゃない…あんなにいきなり、事前に紹介もなく結婚したなんて言われたら、誰だって絶対そうだって思うわよ」

 両親ともども、ごまかすように笑いを浮かべていたが、すっかりカイトは怒ってしまっていた。

 すべての言い訳は、母親が一手に引き受けていたが、どれも彼を説得出来ない。

 彼らは、息子がメイを孕ませたので、結婚したと思っていたのだ。

「けど…」

 ふっと。

 母親は、ついに息子をなだめるのはやめたようで。

 代わりに、不思議でしょうがないという声を出した。

「けど…子供が出来たんじゃなければ、どうしてそんなに急いで籍を入れたの? 何か事情があったわけ?」


 ガスッッッ!!!!!!


 痛恨の一撃だった。

 カイトは絶句した。

 ただでさえ言葉が苦手だったが、こればっかりは言葉が得意であったとしても、絶対に答えられなかっただろう。


 とにかくいますぐ彼女を、自分の側から絶対に離したくなかったからなんて。
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