冬うらら2

「おめーは…」

 カイトが、まっすぐ前を見つめたまま運転をしている。

 しかし、彼女の言葉に誘われたのか、ようやくそう口にした。

 少し、悔しそうな響きを含んでいる。

 悔しい?

 何に?

 いま自分が感じた印象を解剖しようとしても、疑問符が飛び交うだけだ。

 カイトの無言には、山のようにいろんな感情が押し込められているのは分かってきたが、色で見分けなければならない。

 まだ、メイはすべての色を、知っているワケではなかった。

 せいぜい12色の色鉛筆セットくらいである。

 くっきり、はっきりと色の名前が明確なものだけ。

 だから、待った。

 カイトが、次の言葉を吐き出すのを。

 そうすれば、何をいまどんな風に思っているかを知ることが出来るからだ。

 あの両親たちとの会見に、彼はどういう印象を抱いているのだろうか。

 しかし、続きはなかった。

 カイトは、唇をそのまま閉ざしてしまったのである。

 そうしているうちに。

 帰り着いてしまった。
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