冬うらら2

 それなのに、女性の生理ごときで、落ち着かなくなってしまうなんてバレたら。

 途端、メイの信用を失ってしまいそうな気がした。

 ダメだ、ダメだ!!

 いま、手近に壁があったら、きっとガツンガツンと自分の頭をぶつけただろう。

 いっそ、そうして気絶してしまった方が、自分のためかもしれなかった。

 気絶と眠りは、イコールではないかもしれないが、結果的に同じになればそれでいいのだ。

 そうでもしないと、仕事にも身体にも差し障りが出そうである。

 そして、気づいたことがあった。

 毎月、こんな思いをするのか!?

 自分の首に縄をかけて落ち着かせようとしているのに、同時にそんなことを思って呆然とする。

 1週間としたら、月の1/4。

 10日だったら、月の1/3。

 ただ、抱きしめて眠るだけになるのだ。

 人生の1/4や1/3――そう考えると、どうあってもこの現象に慣れなければ、彼が生きていくのとプライドを守るのに支障が出そうだった。

「ん…」

 なのに。

 冬の温かい布団の中で、更に温かいものを求めるかのように、メイがすり寄ってくる。

 眠っている時に、無意識におきる現象だ。

 その行動は、カイトに何もかも無防備に許しきっている証で、いつもなら大喜びのはずだった。

 クソッ。

 それは、自分に言ったのだ。

 コントロールできない、自分が腹立たしかった。

 結果的には、我慢は出来ているのだが、こんなにまで苦しんで我慢しなければならないということに腹が立つ。

 本当に懐の広い男なら、こういう時は彼女の事情をきちんと理解して、余裕で抱きしめて眠るだけという、大技をやってのけなければならないのだ。

 それが出来ない自分が腹立たしい。
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