冬うらら2

 だから、キスも我慢なのだ。

 ただでさえ少ない平日の接触期間が、どんどん減っていく。

 今夜、彼女を抱きしめて眠ることが出来るかどうか―― それさえも怪しかった。

 今日はもう、ダメかもしれない。

 このままでは。

 メイを愛しいと思う心と、荒れ狂うケダモノの男の生理が殺し合いを始めてしまう。

 いままでも、何度となくその兄弟は争ってきた。

 ここ数日、兄貴の方が何とか勝っているのだが、弟の鬱憤がたまりすぎて、それが爆発すると、どんな恐ろしい戦闘になるか分からない。

 狩猟祭でも開いて、攻撃的な弟のストレスを発散させなければ、自分でもどうなってしまうか分からなかった。

 狩猟祭。

 本当の戦いではなく、戦いを模した疑似敵への攻撃。

 カイトは、奥歯をぐっと噛みしめた。

 2分間、葛藤した。

 ついに歩き出した。

 トイレへ。
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