冬うらら2
01/26 Wed.
●47
メイは、心配でしょうがなかった。
カイトが、日に日にやつれていくように見えたからだ。
仕事で忙しいのは、見ているだけで分かった。
夜も遅いし、生活も不規則で、寝不足だということは間違いない。
まとめて週末にゆっくり休めるかというと、そういうワケにもいかなかった。
結婚式のための、色々な用意らしきものが、これからもずっと立ちふさがっているのである。
倒れたりしないか。
それが、一番不安だった。
結婚式どころでは、なくなってしまう。
彼女だって悲しい。
今でさえ、カイトの仕事の忙しさで、寂しい思いをしているのだ。
今朝―― 抱きしめられたのは、一瞬だけだった。
あっと思ったら引き剥がされて、カイトは駆け出すように出勤してしまったのである。
気をつけてね。
そう言いたかったのに、メイは寒い冬の玄関に取り残されたまま、彼の車が出ていくのを見ていた。
キスもない。
一昨日も、昨日も、今日も。
一回もない。
でも、よく考えたらそれが普通なのかもしれない。
カイトだって、いつまでも新鮮なことばかりではないのだ。
彼の性格自体、そういうことを喜んでするタイプには見えなかった。
だから、今の方がカイトにとっては、きっと普通なのだろう。
『男の人には、全部見せちゃダメよ。安心されて飽きられちゃうからね』
学生時代、女友達の一人が恋愛のテクニックとやらを、そんな風に教えてくれた。
分からないということが不安につながり、いろんなことを新鮮に見せてくれるのだと。
どんな好きな料理だって、毎朝、毎昼、毎晩食べさせられたら、最後には見たくもなくなるものでしょう―― その例えは分かりやすくて、彼女も当時、納得したものだった。
メイは、心配でしょうがなかった。
カイトが、日に日にやつれていくように見えたからだ。
仕事で忙しいのは、見ているだけで分かった。
夜も遅いし、生活も不規則で、寝不足だということは間違いない。
まとめて週末にゆっくり休めるかというと、そういうワケにもいかなかった。
結婚式のための、色々な用意らしきものが、これからもずっと立ちふさがっているのである。
倒れたりしないか。
それが、一番不安だった。
結婚式どころでは、なくなってしまう。
彼女だって悲しい。
今でさえ、カイトの仕事の忙しさで、寂しい思いをしているのだ。
今朝―― 抱きしめられたのは、一瞬だけだった。
あっと思ったら引き剥がされて、カイトは駆け出すように出勤してしまったのである。
気をつけてね。
そう言いたかったのに、メイは寒い冬の玄関に取り残されたまま、彼の車が出ていくのを見ていた。
キスもない。
一昨日も、昨日も、今日も。
一回もない。
でも、よく考えたらそれが普通なのかもしれない。
カイトだって、いつまでも新鮮なことばかりではないのだ。
彼の性格自体、そういうことを喜んでするタイプには見えなかった。
だから、今の方がカイトにとっては、きっと普通なのだろう。
『男の人には、全部見せちゃダメよ。安心されて飽きられちゃうからね』
学生時代、女友達の一人が恋愛のテクニックとやらを、そんな風に教えてくれた。
分からないということが不安につながり、いろんなことを新鮮に見せてくれるのだと。
どんな好きな料理だって、毎朝、毎昼、毎晩食べさせられたら、最後には見たくもなくなるものでしょう―― その例えは分かりやすくて、彼女も当時、納得したものだった。