冬うらら2

 キスも。

 カイトにとっては、満足するくらい食べてしまったのだろうか。

 ぎゅーも。

 彼は、満足してしまったのだろうか。

 抱きしめられる時間と力が、昨日よりも明らかに少なくなっているのが分かって、メイの心は沈んだ。

 全部、見せちゃダメ。

 そのサジ加減が分からない彼女は、すごく困った。

 カイトを目の前にして、そんな賢い計算が出来るとは思えないからだ。

 それどころか、逆に全部持っていって欲しくて、しょうがないのに。

 ついに、その気持ちが裏目に出てしまったのか。

 そんな気持ちをクリアできないでいる内に、ハルコが来た。

 そして、結婚式の衣装合わせに行きましょうと言ったのだ。

 今日あたりにオトメデーが終わるから、それに合わせて予定を組んでいたのである。

 そして、予想通り彼女の身体は、月に一度の束縛から解放されたのだ。

 結局ドレスは、式までの時間がないということがあって、既成のものを購入して、サイズだけ調整するということになっていた。

 値段も、目が飛び出すほどではなく、メイを安心させたのだった。

 その白いウェディングドレスを着ても、心は晴れない。

「すごく似合うわ…早くカイトくんにも見せたいわねぇ」―― そうハルコが言ったが、笑顔は曖昧になってしまった。
< 227 / 633 >

この作品をシェア

pagetop