冬うらら2
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思考がはっきりしないのか、二度ほど頭を左右に振った後、背広の上着だけ脱いだ状態で、ベッドに向かうのだ。
「1時間したら起こしてくれ」
ため息の成分が、多く含まれる声で、カイトはそう言った。
その言葉が、最後だった。
バタン。
キュー。
メイは、はっと我に返って、慌ててベッドに駆け寄った。
彼は、ベッドにたどりついたかと思うと倒れ込み、そのまま眠ってしまったのである。
そう。
カイトは、布団の上に眠ってしまったのだ。
メイは何とか布団の中に押し込もうとしたが、カイトが重石になっていて、なかなか思うようにならなかった。
とりあえず、内側の毛布だけは引っぱり出せた。
それを、かけてやる。
ダブル用の大きな毛布だ。
1時間たったら。
毛布の中で熟睡しているカイトを眺めながら、さっきの言葉を思い出す。
1時間。
それだけ眠ったら、また会社に行くということだろうか。
たった1時間眠るためだけに、わざわざ家に帰ってきたというのだろうか。
会社だって、どこなりと眠る場所があるはずだ。
往復の移動時間をプラスすると2時間くらいは、仮眠が取れるはずなのに―― 帰れないと言ったのに。
カイトは、帰ってきてくれたのだ。
何で?
その疑問を、押しのける気持ちがあった。
嬉しい。
胸の中で、その言葉がこぽんと、気泡のようにわき上がって弾けたのだ。
メイは。
彼の毛布の中にもぐりこむ。
いまの自分の気持ちを、彼に伝えたかったのだ。
たとえ、眠っている相手だとしても。
いや、眠っているからこそ、恥ずかしさを彼に知られることなく出来るのである。
ぎゅっと。
眠っているカイトを、抱きしめた。
思考がはっきりしないのか、二度ほど頭を左右に振った後、背広の上着だけ脱いだ状態で、ベッドに向かうのだ。
「1時間したら起こしてくれ」
ため息の成分が、多く含まれる声で、カイトはそう言った。
その言葉が、最後だった。
バタン。
キュー。
メイは、はっと我に返って、慌ててベッドに駆け寄った。
彼は、ベッドにたどりついたかと思うと倒れ込み、そのまま眠ってしまったのである。
そう。
カイトは、布団の上に眠ってしまったのだ。
メイは何とか布団の中に押し込もうとしたが、カイトが重石になっていて、なかなか思うようにならなかった。
とりあえず、内側の毛布だけは引っぱり出せた。
それを、かけてやる。
ダブル用の大きな毛布だ。
1時間たったら。
毛布の中で熟睡しているカイトを眺めながら、さっきの言葉を思い出す。
1時間。
それだけ眠ったら、また会社に行くということだろうか。
たった1時間眠るためだけに、わざわざ家に帰ってきたというのだろうか。
会社だって、どこなりと眠る場所があるはずだ。
往復の移動時間をプラスすると2時間くらいは、仮眠が取れるはずなのに―― 帰れないと言ったのに。
カイトは、帰ってきてくれたのだ。
何で?
その疑問を、押しのける気持ちがあった。
嬉しい。
胸の中で、その言葉がこぽんと、気泡のようにわき上がって弾けたのだ。
メイは。
彼の毛布の中にもぐりこむ。
いまの自分の気持ちを、彼に伝えたかったのだ。
たとえ、眠っている相手だとしても。
いや、眠っているからこそ、恥ずかしさを彼に知られることなく出来るのである。
ぎゅっと。
眠っているカイトを、抱きしめた。