冬うらら2
□
オオカミは、答えた。
「起きてる…」
しぶしぶと。
自分が側にいるのに、どうしてそんな寂しい声を出させなければならないのか。
理不尽なこと、この上なかった。
その寂しさを、追いやりたかった。
カイトというカタマリで埋めて、隙間なんか1ミリも残っていないようにしたかった―― でも、ダメだ。
彼女の望む形のぎゅーだけでは、彼自身が埋められないのである。
もっと、必要なのだ。
「明日は…お仕事?」
メイは、ベッドの側に立っている。
運悪く、カイトはそっちの方を向いて横になっていた。
今更、わざとらしく寝返りを打って背を向けるのはイヤで、そのままの状態を維持し続けている。
「休みだ」
また、しぶしぶ。
仕事は、いつでもカイトを待っている。
しかし、結婚式のすべての用意を、メイばかりに任せているワケにはいかなかった。
実際、明日は式場とやらで、打ち合わせが入っているらしい。
本当は行きたくないのだが、彼女一人、心細い思いをさせたくないし、あの夫婦にメイを託すのにも、かなりの不安と不満があった。
まだ。
ソウマたちがいた方が、いいのかもしれない。
彼女に、触れることが出来ないのだ。
彼らが見ていたら、その衝動を抑えることが出来るだろう。
そして、怒りはソウマに当たり散らせばそれでいいのである。
この時ほど、彼らの存在を欲したことはなかった。
オオカミは、答えた。
「起きてる…」
しぶしぶと。
自分が側にいるのに、どうしてそんな寂しい声を出させなければならないのか。
理不尽なこと、この上なかった。
その寂しさを、追いやりたかった。
カイトというカタマリで埋めて、隙間なんか1ミリも残っていないようにしたかった―― でも、ダメだ。
彼女の望む形のぎゅーだけでは、彼自身が埋められないのである。
もっと、必要なのだ。
「明日は…お仕事?」
メイは、ベッドの側に立っている。
運悪く、カイトはそっちの方を向いて横になっていた。
今更、わざとらしく寝返りを打って背を向けるのはイヤで、そのままの状態を維持し続けている。
「休みだ」
また、しぶしぶ。
仕事は、いつでもカイトを待っている。
しかし、結婚式のすべての用意を、メイばかりに任せているワケにはいかなかった。
実際、明日は式場とやらで、打ち合わせが入っているらしい。
本当は行きたくないのだが、彼女一人、心細い思いをさせたくないし、あの夫婦にメイを託すのにも、かなりの不安と不満があった。
まだ。
ソウマたちがいた方が、いいのかもしれない。
彼女に、触れることが出来ないのだ。
彼らが見ていたら、その衝動を抑えることが出来るだろう。
そして、怒りはソウマに当たり散らせばそれでいいのである。
この時ほど、彼らの存在を欲したことはなかった。