冬うらら2
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そんな風に、カイトが明日やソウマのことに、気を取られている間に。
ギシッ。
ベッドがきしんだ。
うおわ!
驚きの余り、心臓が口から飛び出しそうになる。
何も、おかしいことがあるはずがない。
彼女だって眠ろうとしているだけなのだ。
ベッドに入るのが、自然ではないか。
バクンバクンバクン。
忘れかけていた心臓が、慌てて騒ぎ出す。
警戒警報の嵐だ。
落ち着け、落ち着け―― 自分に言い聞かせる。
いきなり弟の軍の先頭が、丘の上に見えはしたが、まだ逃げられるはずだった。
兄はそうやって、いままでずっと生き延びてきたのだから。
横を向いて眠っていたカイトの目の前に、メイの身体が潜り込んできた。
その白い肌。
カイトの動きは俊敏だった。
急いで彼は、枕元の電気を消したのだ。
これで肌の色も表情も、とにかく彼女にまつわる魅力的な部分を隠してくれるハズだったのである。
「カイト…」
しかし、明かりで声は消せない。
側で繰り返される呼吸は、消せないのだ。
挙げ句。
「………!!!!」
カイトは、硬直した。
彼女の指が、触れてきたのだ。
さまよっているようで何かを探している指が、カイトのパジャマに触れる。
身体に直接触るような強さはない。
パジャマの、浮いている布の部分に当たっているだけだ。
何を。
何を探しているのか。
カイトは、ガチガチに固まったまま、弟の軍を見た。
弟は、行軍をやめていた。
突然起きた出来事に、弟の方も現状を分かっていなかったのである。
パジャマの。
カイトのパジャマの――ボタンが一つ、はずれた。
そんな風に、カイトが明日やソウマのことに、気を取られている間に。
ギシッ。
ベッドがきしんだ。
うおわ!
驚きの余り、心臓が口から飛び出しそうになる。
何も、おかしいことがあるはずがない。
彼女だって眠ろうとしているだけなのだ。
ベッドに入るのが、自然ではないか。
バクンバクンバクン。
忘れかけていた心臓が、慌てて騒ぎ出す。
警戒警報の嵐だ。
落ち着け、落ち着け―― 自分に言い聞かせる。
いきなり弟の軍の先頭が、丘の上に見えはしたが、まだ逃げられるはずだった。
兄はそうやって、いままでずっと生き延びてきたのだから。
横を向いて眠っていたカイトの目の前に、メイの身体が潜り込んできた。
その白い肌。
カイトの動きは俊敏だった。
急いで彼は、枕元の電気を消したのだ。
これで肌の色も表情も、とにかく彼女にまつわる魅力的な部分を隠してくれるハズだったのである。
「カイト…」
しかし、明かりで声は消せない。
側で繰り返される呼吸は、消せないのだ。
挙げ句。
「………!!!!」
カイトは、硬直した。
彼女の指が、触れてきたのだ。
さまよっているようで何かを探している指が、カイトのパジャマに触れる。
身体に直接触るような強さはない。
パジャマの、浮いている布の部分に当たっているだけだ。
何を。
何を探しているのか。
カイトは、ガチガチに固まったまま、弟の軍を見た。
弟は、行軍をやめていた。
突然起きた出来事に、弟の方も現状を分かっていなかったのである。
パジャマの。
カイトのパジャマの――ボタンが一つ、はずれた。