冬うらら2
□
ふわっ、でもいい。
ふにょん、でもいい。
擬音語なんかは、何だってよかった。
そんなものは、いま重要なことではないのだ。
一番重要なのは、その柔らかい感触が、カイトの身体にぎゅっと押しつけられているということである。
メイと、激しく密着してしまっているのだ。
カァッと、全身に血が巡った。
ドクンッッ。
イヤな鼓動を、一つ強く打った。
全身が、総毛立った。
この時のカイトは―― 他の何よりも速く動けた。
「ダメだ!!!!」
バッと、彼女をひきはがす。
口の中は、カラカラで。
風呂上がりのパジャマの中は、汗や熱気、そして緊張と興奮でいっぱいだった。
しかし、背筋にだけ一本、極寒のラインが走っている。
まるで絶体絶命の、危機のまっただ中にいるかのようだった。
暗くてよかった。
いまのカイトの姿は、誰にも見せられない。
ぎゅっとされるだけで、こんなにまで取り乱している自分の姿を見たら、きっと彼女に幻滅されるだろう。
普通の男なら、意図はともかくとして、優しく抱き返すのだ。
それさえ、出来ない。
一度、自分に戒厳令を出しているのだ。
彼女に関することは、何もかも『違反』であり、『禁止』であり、『破ったものは即刻死刑』なのである。
それらの戒めを破らないように、極力家から一歩も出ないようにしていたにも関わらず、禁止が向こうからやってきて、ドアを開けて入ってこようとするのだ。
慌てて外に追い出し、ドアに体重をかけて開けられないようにするしかなかった。
そうでないと、絶対に死刑間違いナシなのだから。
ふわっ、でもいい。
ふにょん、でもいい。
擬音語なんかは、何だってよかった。
そんなものは、いま重要なことではないのだ。
一番重要なのは、その柔らかい感触が、カイトの身体にぎゅっと押しつけられているということである。
メイと、激しく密着してしまっているのだ。
カァッと、全身に血が巡った。
ドクンッッ。
イヤな鼓動を、一つ強く打った。
全身が、総毛立った。
この時のカイトは―― 他の何よりも速く動けた。
「ダメだ!!!!」
バッと、彼女をひきはがす。
口の中は、カラカラで。
風呂上がりのパジャマの中は、汗や熱気、そして緊張と興奮でいっぱいだった。
しかし、背筋にだけ一本、極寒のラインが走っている。
まるで絶体絶命の、危機のまっただ中にいるかのようだった。
暗くてよかった。
いまのカイトの姿は、誰にも見せられない。
ぎゅっとされるだけで、こんなにまで取り乱している自分の姿を見たら、きっと彼女に幻滅されるだろう。
普通の男なら、意図はともかくとして、優しく抱き返すのだ。
それさえ、出来ない。
一度、自分に戒厳令を出しているのだ。
彼女に関することは、何もかも『違反』であり、『禁止』であり、『破ったものは即刻死刑』なのである。
それらの戒めを破らないように、極力家から一歩も出ないようにしていたにも関わらず、禁止が向こうからやってきて、ドアを開けて入ってこようとするのだ。
慌てて外に追い出し、ドアに体重をかけて開けられないようにするしかなかった。
そうでないと、絶対に死刑間違いナシなのだから。