冬うらら2
□
けれど。
ドアの外に―― 彼女がいる。
カイトが、いま追い出したばかりのメイが。
このままでは、誤解される。
そういうひらめきが、頭の隅にあった。
彼女からの抱擁を、カイトは拒んでしまったのだ。
ドアの向こうとこっち側という隔たりが、余計に誤解を燃え立たせるだろう。
喉が、熱い。
ゴクリと、ほとんど唾も出ていないというのに、息を一つ飲み込んだ。
喉は湿らず、温度を上げていくばかりだった。
「お…おめぇといると…ダメだ」
だから。
熱くて、苦しい声になった。
「おめぇに触れられると……我慢できねぇ。ひでぇこと、しちまう…メチャクチャにしちまう」
泣き叫ばれても、止められないかもしれない。
それが怖いのだ。
メイを思う気持ちよりも、この男の生理が勝ってしまったら、カイトは一生自分を許せなくなるだろう。
「ただ…ぎゅっと抱きしめるだけじゃ…終われねぇ」
カイトは。
最後のカタマリを、喉から吐き出した。
誤解なく彼女に伝えなければ、カイトは明日も明後日も針のむしろだ。
今のカイトはもう、女性の生理の周期など頭になかった。
戒厳令まっただ中で、それが永遠に続くいう被害妄想に取り憑かれていたのである。
「え…あの…カイト?」
彼の言葉を、うまく理解できないような声。
この声が、またカイトの背中を騒がせた。
けれど。
ドアの外に―― 彼女がいる。
カイトが、いま追い出したばかりのメイが。
このままでは、誤解される。
そういうひらめきが、頭の隅にあった。
彼女からの抱擁を、カイトは拒んでしまったのだ。
ドアの向こうとこっち側という隔たりが、余計に誤解を燃え立たせるだろう。
喉が、熱い。
ゴクリと、ほとんど唾も出ていないというのに、息を一つ飲み込んだ。
喉は湿らず、温度を上げていくばかりだった。
「お…おめぇといると…ダメだ」
だから。
熱くて、苦しい声になった。
「おめぇに触れられると……我慢できねぇ。ひでぇこと、しちまう…メチャクチャにしちまう」
泣き叫ばれても、止められないかもしれない。
それが怖いのだ。
メイを思う気持ちよりも、この男の生理が勝ってしまったら、カイトは一生自分を許せなくなるだろう。
「ただ…ぎゅっと抱きしめるだけじゃ…終われねぇ」
カイトは。
最後のカタマリを、喉から吐き出した。
誤解なく彼女に伝えなければ、カイトは明日も明後日も針のむしろだ。
今のカイトはもう、女性の生理の周期など頭になかった。
戒厳令まっただ中で、それが永遠に続くいう被害妄想に取り憑かれていたのである。
「え…あの…カイト?」
彼の言葉を、うまく理解できないような声。
この声が、またカイトの背中を騒がせた。