冬うらら2

「あの…」

 腕の中で。

 メイは、胸に顔をうずめるようにしたまま呟く。

 苦しそうな声は、彼の腕の力のせいか。

「あの…マグカップで…また一緒に…お茶を飲みたいな」

 途切れ途切れの言葉。


 飲みゃあいいだろ!!!!


 カイトは、大声で即答した―― しかし、心の中で、だったが。

 そんなことくらいお安い御用だ。

 10杯でも、20杯でも、コーヒーでも茶でも何でも。

 彼女が、『一緒に』と望んでくれるのだ。

 カイトと一緒に、このマグカップと、家にあるだろうもう一つのマグカップで、お茶をしたいと望むのだ。

 それを、どうして拒んだりしようか。

 もっともっとたくさんのものを、メイに望まれたい。

 ずっともっと、自分を必要とされたい。

 お茶の相手としてだけじゃなく、全ての場面で、一番に自分の名前を思って欲しい。

「早く片づけて…帰るぞ」

 そうして、茶でも何でもいくらでも気が済むまで一緒に。


 ああ。

 彼女の。

 全てになりたい。
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