冬うらら2

 しかし、やはり落ち着いてなんかいられなかった。

 そんな言葉は、耳にも入らずに、メイは彼にしがみついたのだ。

 もう、どう思われたってよかった。

 今は、この気持ちをぶつけたかったのだ。

 毎日好きだと思ってる。

 昨日も今日も、きっと明日も。

 でも、それがとりわけ大きな波で襲ってくる瞬間があるのだ。

 我を忘れるくらい、好き。

「カイト…好き…好き」

 ああ、言葉じゃやっぱり追いつかない。

 メイは、もどかしさを全身に味わった。

「もう、飽きられちゃったかと思った……触れてもらえなくて…寂しかった」

 言葉じゃ―― 足りない、全然足りない!!!

 ぎゅうっと、腕に力をこめてしがみつく。

『好き』が、こぼれず全部彼に届けばいいと思った。


「………抱いて」


 強く抱きしめて。

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